「ちょうどよい田舎の物件を紹介されると、銀行は“瑕疵担保業者(※)”と呼ばれる、まさにセミナーなどをやっている業者にそれを紹介するんです。都心のセミナーで素人相手に商売するのはこの業者たちで、地銀はあくまで物件に『融資しただけ』であって、こちらに一切責任はない…とするスタンスで融資をしていきます。」
こうして、一部の地銀が裏で糸を引く形で、このような商売が蔓延しているというわけだ。先の不動産業者は語る。
「世界的な経済の混乱が収束する様子もないため、黒田日銀は今後、マイナス金利枠を拡大するとも見込まれています。すると、より多くの金融機関がこのスキームに、より低利で出てくるという危機感を抱いてる一部地銀は、今のうちに実績を多数積み上げようと、今年9月までを決戦の時として該当物件を探しているのです」
(※)瑕疵担保業者……不動産業界内での通称。正式な呼び名ではない。一部地銀に代わって不動産の売主となり、買い手に対する不動産の瑕疵担保責任や6カ月程度の収益保証を行う。実際には資力がそもそもなく、何か瑕疵があっても、その瑕疵担保責任など負えず、その際には破産させるだけの法人格である事がほ とんどだが、買い手の顧客には「瑕疵担保責任を負うから安心」として営業をしている事から、業界内ではからかって、不動産業界内では、このような通称で呼 ばれている事が多い。他に、「中間省略屋」や、もしくは一部地銀の銀行名の一部を冠したあだ名などがある。