広がる朝型勤務、課題も浮上 交通機関や保育園、体制整わず (4/5ページ)

2015.7.21 06:25

損害保険ジャパン日本興亜が働き方改革の一環で作成した社員向け冊子

損害保険ジャパン日本興亜が働き方改革の一環で作成した社員向け冊子【拡大】

  • 午前8時すぎのオフィスで勤務する木全さん(手前)=東京都新宿区の損害保険ジャパン日本興亜本社

 しかし、朝型勤務の普及には課題もある。毎朝、電車で出勤する損保ジャパン日本興亜の木全さん。自宅最寄り駅から7時過ぎの電車に乗るが、「最近は車内で新聞が読めないくらい混んでいる」と話す。

 鉄道各社は定期的にダイヤ改正を行うが、一度決まったダイヤを急には変えられない。車両の運用、乗務員の確保、使用する電力量などのさまざまな条件をクリアする必要があり、改正作業は1年以上を要する。早朝の混雑は、政府の「ゆう活」の動きに、ただちに対応できなかったことが主因とみられる。

 ただ、東京急行電鉄や京王電鉄などでは朝型勤務のニーズを受け、ここ数年、早朝時間帯で列車を増発している。首都圏の鉄道各社は、他社路線への相互乗り入れも多いため、ダイヤ改正には他社との調整が不可欠だが、各社ともさらなる増発について、「検討課題の一つ」(東急広報)としている。

 一方、保育園の開園時間も課題だ。午前7時台の開園が多い首都圏では、片道の通勤時間が1時間を超えるケースも多く、「従前から、東京の郊外を中心に保育時間帯の繰り上げを求める声はある」(グローバルキッズ広報)という。ただ、認可保育園の場合、開所時間や保育時間が自治体で決められており、簡単に繰り上げができない。また首都圏を中心に保育士が慢性的に不足しており、「勤務シフトをずらすことで、保育士の労働環境が悪化する可能性がある」(業界関係者)ともいう。

働く人を支えるインフラの充実も求められる

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