しかし、朝型勤務の普及には課題もある。毎朝、電車で出勤する損保ジャパン日本興亜の木全さん。自宅最寄り駅から7時過ぎの電車に乗るが、「最近は車内で新聞が読めないくらい混んでいる」と話す。
鉄道各社は定期的にダイヤ改正を行うが、一度決まったダイヤを急には変えられない。車両の運用、乗務員の確保、使用する電力量などのさまざまな条件をクリアする必要があり、改正作業は1年以上を要する。早朝の混雑は、政府の「ゆう活」の動きに、ただちに対応できなかったことが主因とみられる。
ただ、東京急行電鉄や京王電鉄などでは朝型勤務のニーズを受け、ここ数年、早朝時間帯で列車を増発している。首都圏の鉄道各社は、他社路線への相互乗り入れも多いため、ダイヤ改正には他社との調整が不可欠だが、各社ともさらなる増発について、「検討課題の一つ」(東急広報)としている。
一方、保育園の開園時間も課題だ。午前7時台の開園が多い首都圏では、片道の通勤時間が1時間を超えるケースも多く、「従前から、東京の郊外を中心に保育時間帯の繰り上げを求める声はある」(グローバルキッズ広報)という。ただ、認可保育園の場合、開所時間や保育時間が自治体で決められており、簡単に繰り上げができない。また首都圏を中心に保育士が慢性的に不足しており、「勤務シフトをずらすことで、保育士の労働環境が悪化する可能性がある」(業界関係者)ともいう。