親族が経営する会社の倒産による生活苦や娘や自身の大病、離婚…。次々と襲う苦難を乗り越えた女性が昨年4月に起業した大阪市西区の速読教室「美脳アカデミー」が話題だ。読書速度を引き上げることで右脳や潜在意識が活性化し、脳の理解力や記憶力、感性も向上する効果があるとアピール。単にたくさん読書できるということではなく、速読との出合いを機に逆境をはねのけた女性の壮絶な人生を重ね合わせ、成功を呼び寄せる前向きな思考回路が身につくことが評判の背景になっている。(栗井裕美子)
千難万苦
美脳アカデミーを経営しているのは同区の大河原幸子さん(47)で、「何度も壁にぶつかり、失望して生活するだけで精いっぱいという時期もあった。でも速読と出合い、人生をあきらめたくないと奮起することができた」と話す。
耳の不自由な父親と、手に障害のある母親の間に生まれた大河原さん。料理が苦手の母親に代わって小学生時代に料理をするようになった。それで磨いた料理の腕前を生かして高校卒業後は関西の大手家電メーカーに入社。同社の電子レンジを料理教室の講師として4年半働いた。