恋愛においては、女は「上書き保存」で、男は「別名にして保存」。女は別れた相手をすぐに忘れて次の相手に切り替えるが、男はいつまでも昔の相手を忘れない--。
巷でよく聞かれる、このような男女の違い。いったいどの程度の信憑性があるのだろうか?
残念ながら、それを裏付けるような学術的なデータはない。「誰もデータをとって調べるということをしていない」というのが現状のようである。しかし、この「女は上書き・男は別名保存説」は、「自然選択による進化」という観点にたつと、なかなか説得力のある仮説として考えることもできる。
ポイントは、男と女が、精子をつくる性と卵子をつくる性という根本的な違いをもつ点にある。
自然選択による進化というとむずかしく聞こえるが、要は、ある生物種の集団があったとき、より多くの子を残した個体の遺伝子や性質が後世に伝わり、子を残さなかった個体の遺伝子や性質は伝えられずに消えていく、ということだ。