【BOOK REVIEW】
日本人からすると当たり前のことが、外国人には素晴らしいことに映ることがある。日本の素晴らしいことやものに気づいていないのは、他ならぬ日本に住む日本人なのかもしれない。日本人が日本の素晴らしさを理解し、教養として身につけておきたいことをまとめたのが、『仕事に活きる教養としての「日本論」』(アスコム刊)である。
同書は、自然、歴史、伝統、文化、など、日本が世界に誇る素晴らしい点をまとめたもの。日本人が最低限知っておくべき、日本が世界に誇る素晴らしい点を、それらが生まれた背景や育んだ風土などを踏まえた上で解説している。著者は元大蔵官僚で、「ミスター円」の異名をとった榊原英資氏。榊原氏といえば、為替をはじめとした経済関連の書を多数執筆しているが、自然や歴史、文化を執筆テーマとして扱ったことに驚かされた。そんなこともあり、期待を持って読むことにした。
■世界に誇る日本の素晴らしさ
同書でとくに印象的なのが、背景を丁寧に言及しているところ。歴史的経緯や地理的要因などを中心に、なぜそれが素晴らしいのかを説く。日本という国が好きなこともさることながら、そういう国に生まれ育った日本人としての誇りが著者にあるから、背景を丁寧に説明しているのであろう。