調査は23年度から3年かけて実施された。それによると、ヒグマが生息する北海道で分布の拡大が確認された。ツキノワグマは本州と四国に生息しており、生息数がわずかな四国を除き、拡大傾向にあることが分かった。拡大傾向は大量出没年でない年にも見られ、定着した可能性がある。
東京都では大量出没年に分布域が森林地域の東端まで拡大しており、ほぼ限界域に達したとみられる。大都市圏に近い地域では、京都府や兵庫県で南下が見られた。
福島県では東北自動車道以東の阿武隈山地に拡大。23年の東京電力福島第1原発事故後、広い範囲で人の立ち入りが制限されているため、生息密度が上昇する可能性を指摘している。
心理的被害
調査は、クマによる人身被害の背景を探り、軋轢を抑止するのが目的。全国規模の大量出没が起きた18年度と22年度は、100人超の人身被害が発生した。人間に利用されなくなった里山が森林に再生し、生息可能な場所が広がっている。
そこで、JBNは15年度の環境省調査以降、新たに自治体や関係機関が収集した出没情報などを取りまとめ、分布域の境界線を同省調査時と比較した。