ここにクリエイターが主役であるもう一つの理由が隠されている。
一般消費者の声を聞いて市場分析するケースは多い。しかしアイカは違う。クリエイターの作品そのものに潜むクリエイター自身の目線を探り当て、一般消費者からは浮き彫りにされにくい本音を見つける。企業もこのサービスに関心が高い。
原口さんは、こう説明する。「あるブランドに世界中からコンテンツを表現してもらいますよね。それらに対して、文化人類学や社会学の専門家が作品の全てに共通する因子やシンボルを見つけ、なぜメンバーはそのような意識を持ったのか?と掘り下げてゆきます。なぜ赤ばかり使われるのか? なぜ力強いイメージが強調されるのか? と」
高い表現力のクリエイター作品だからこそ、実践的且つ深い議論が可能になるわけだ。現代の社会でクリエイターあるいはデザイナーの重要性がいや増しているのは、彼らの感度と可視化能力に大きく拠っている。
ただ、共創のプラットホームが生み出す社会的影響力は普通の人が想像しているよりずっと大きい。この話題は次回に譲ろう。
尚、eYekaのサイトURLは企業向け(http://www.eyeka.net/)とクリエイター向け
(https://en.eyeka.com/)に分かれている。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih