募集内容は新商品などのアイデアと広告の動画やグラフィックのコンテンツの2種類に分けられ、比率でいうと前者が6割で後者が4割だ。市場としては周縁に位置するセネガルやウズベキスタンなどに住むクリエイターの作品に注目が集まることが珍しくない。大市場をひかえるNYや上海に住んでいることが良いアイデアを生み出す条件にならない。いや、多数と似た環境にいることが逆に不利かもしれない。
「アイカはテーマに感度が高く表現に優れる人が集まる、いわば『道場』なんです。6-7人のコミュ二ティーマネージャーが案内役になってメンバーに投稿を促したり、作品の質のチェックや助言をこまめにします。企業が投げるお題目も、マネージャーが事前にメンバーに打診し、より魅力的な作品が集まるようコミュニティをマネジメントしているのです」と原口さん。
賞金目当てに自動的にアイデアがやってくるのではない。アイカには複数の国で生活や仕事を経験してきた社員が多い。そこで各地域の文化事情に勘がききやすい。その彼らがコミュニティを手塩にかけて育てている。
実は、ぼくがアイカに興味をもったのは、アイデアやコンテンツというアウトプットまでの協業プロセスだけではない。提案からの「逆算」だ。