外国語ではない。英語やその他の言葉ができればできるほどプラスだが、いつ使うともしれない言語を学ぶほど余裕はないはずだ。考え方の違いを知るという利点があるが、一生仕事で外国語を必要としない確率が高いなら他のことを考えた方がいい。
何処にいても要求され、突如違った文化圏ともつきあわざるを得ない状況で最大限に活用できる力は何か?
それはコトの文脈を読む力だ。
現象の背後にある「なぜ」を探る旅が自分の頭の中だけでできるかどうか。もちろん友人やソーシャルメディアの手助けを拒否するわけではないが、文脈そのものは自分のなかで組み立てられる。
それなら英語を勉強した方が楽だって?それができれば会社に人生を委ねていないって?
そうかもしれない。しかし敷居の高い課題でもないはずだ。毎日英語を勉強するより、よっぽど「語学学習下手」には楽だ。だいいち退屈じゃない。
ぼくは、即行動に移す人達の背中を押すことはもちろんだが、一方で慎重にことを考える人たちが変化に対して「何を備え何をほっぽっておいてよいか」を一緒に考えていきたい。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場をモノのローカリゼーションレベルから理解するアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だ。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。今年は素材ビジネスやローカリゼーションマップのワークショップに注力。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih