長時間労働是正に取り組むも機能は…中小は人手不足で進まず
電通に強制捜査電通女性新入社員の自殺で問題になった長時間労働に対し、大企業は是正への取り組みを進めている。ただ、実際に機能しているかどうかの問題がある。一方、多くの中小企業は人手不足が影響して進んでいないのが実情だ。
経団連の榊原定征会長は7日の記者会見で、電通に対し「過労死は絶対に起こしてはいけない。経営陣には是正を求める」と猛省を促した。同時に「経営トップが長時間労働是正でリーダーシップを発揮することが重要だ」と述べ、約1300社の会員企業に改めて長時間労働是正を呼びかける考えを示した。
大和証券グループ本社は午後7時前の退社励行を行い、日本航空は業務メールのやり取りを原則午後6時半までと決めた。日立製作所やパナソニックは一定時間以上の残業に対する事前申請を義務付けている。シャープやKDDIは、終業から翌始業時間の間隔を一定以上に設定するインターバル制度を導入している。
東レ経営研究所の渥美由喜主任研究員は「制度が整っていても使えなかったり、制度を使うと評価が下がったりしてしまうという、一見するとホワイト企業なのに実態はブラック企業という“おしろい企業”が問題だ」と指摘する。
飲食、運送などの中小企業は顧客からの不規則な要望に対応しなければならず、是正が遅れている。神奈川県内の介護施設に勤務する男性は「辞めた社員やパートの補充がつかず、週によっては夜勤終了後、4時間で次の勤務開始になるシフトがある」と嘆く。
関連記事