【Science View】 (3/4ページ)

2017.6.15 05:00

北島智也氏
北島智也氏【拡大】

  • 図卵子が染色体数異常になりやすい理由卵母細胞の細胞質サイズが大きくなると、紡錘体極の機能性は低くなる。このため、染色体は正確な分配の必要条件である紡錘体赤道面への整列に失敗しやすい。通常、染色体が整列に失敗したとしても、紡錘体チェックポイントにより細胞周期の進行が停止し、染色体分配の間違いは防がれる。しかし、細胞質が大きくなると、紡錘体チェックポイントの厳密性が低くなる。これら2つの影響により、細胞質サイズが大きいほど染色体分配の間違いが起こりやすい。
  • 石垣和慶氏
  • 図eQTLカタログの応用例関節リウマチのリスク多型の機能(どの細胞種でどの遺伝子の発現を亢進・低下させるか)をeQTLカタログを用いて評価した。5つの細胞種ごとに、どの遺伝子が亢進もしくは低下すれば関節リウマチの発症リスクであるかを示している。例えば、CD4陽性T細胞におけるPADI4遺伝子の亢進やBLK遺伝子の低下は関節リウマチの発症リスクだと考えられる。

 またeQTLカタログを応用し、免疫疾患の遺伝的メカニズムの全体像を評価する新しい手法を開発した。例えば、関節リウマチ患者と健常人の遺伝子情報を用いて、CD4陽性T細胞において176個の遺伝子がTNFパスウェイに与える影響を予測し、一つの情報に集約した。これを解析した結果、TNFパスウェイの活性化は関節リウマチの病態で重要な役割を持つことが確認できた。

 本研究で得られたeQTLカタログや解析手法は、関節リウマチなどの自己免疫疾患に加えて、花粉症・ぜんそく・がんなどの免疫が関わる多くの疾患に適応することができる。今後、遺伝的メカニズムに基づいた創薬標的の探索と治療法の開発に貢献すると期待できる。

                   ◇

【プロフィル】石垣和慶

 いしがき・かずよし 東京大学医学部医学科卒。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。東大病院アレルギー・リウマチ内科を経て2016年4月から現職。専門領域はリウマチ学、免疫学、ゲノム学。

                   ◇

 ■コメント=ゲノム学で得られた知見からリウマチ 性疾患、免疫システムの謎を明らかにしたい。

産経デジタルサービス

IGN JAPAN

世界最大級のビデオゲームメディア「IGN」の日本版がついに登場!もっとゲームを楽しめる情報をお届けします。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

「ソナエ 安心のお墓探し」では、厳選されたお墓情報を紹介! 相続、葬儀、介護などのニュースもお届けします。