またeQTLカタログを応用し、免疫疾患の遺伝的メカニズムの全体像を評価する新しい手法を開発した。例えば、関節リウマチ患者と健常人の遺伝子情報を用いて、CD4陽性T細胞において176個の遺伝子がTNFパスウェイに与える影響を予測し、一つの情報に集約した。これを解析した結果、TNFパスウェイの活性化は関節リウマチの病態で重要な役割を持つことが確認できた。
本研究で得られたeQTLカタログや解析手法は、関節リウマチなどの自己免疫疾患に加えて、花粉症・ぜんそく・がんなどの免疫が関わる多くの疾患に適応することができる。今後、遺伝的メカニズムに基づいた創薬標的の探索と治療法の開発に貢献すると期待できる。
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【プロフィル】石垣和慶
いしがき・かずよし 東京大学医学部医学科卒。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。東大病院アレルギー・リウマチ内科を経て2016年4月から現職。専門領域はリウマチ学、免疫学、ゲノム学。
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■コメント=ゲノム学で得られた知見からリウマチ 性疾患、免疫システムの謎を明らかにしたい。