「そんながん治療は聞いたことがないぞ!」「WELQ的な似非科学なんじゃないの?」といぶかしむ方も多いだろうが、動脈塞栓術は、日本の医師が1982年に発表し、世界に広まった画期的な肝臓がんの治療法「肝動脈塞栓療法」(TAE)を他のがんに応用した医療技術である。ちなみに、TAEは国立がん研究センターのWebサイトでも紹介されている。
そんな動脈塞栓術の第一人者で、この15年間で、乳がん、肺がん、胃がん、肝臓がんなどで1万件超の治療実績を誇っているのが、このクリニックの院長を務める掘信一医師なのだ。
関空に世界中からがん患者が集まる
「1万件の実績」と聞いて、動脈塞栓術に興味を抱いた方も多いだろう。そこで、5月26日に発売される掘医師の初めての著書『なぜ関空に世界中からがん患者が集まるのか?』(宝島社)の中に、この治療法について端的に説明してあるところがあるので引用させていただく。
『「動脈塞栓術」とも呼ばれるこの治療は、非常に細いマイクロカテーテルという器具を血管内に通して、がんの塊に向けて抗がん剤を直接送り込むと同時に、がん細胞が栄養を受け取る血管を極めて小さな「塞栓材料」というもので「蓋」をしてしまうという治療です。
がん組織への血管を蓋で塞いでしまうことで、少量の抗がん剤で効果的に治療ができるうえ、がんへの栄養補給路も断つことができます。わかりやすくいえば、がんに対して「兵糧攻め」を行うのです。』(P10)