本人が死亡した際、家族らへの財産相続が簡単な手続きで行える「遺言代用信託」が注目を集めている。高齢化が進み、相続への関心が高まるなか、遺言書を作成しなくても、相続トラブルを防ぎ、計画的に家族に財産を残せることから人気が高まっているようだ。(戸谷真美)
簡単な手続きで
遺言代用信託は、本人が生前に家族らを受取人に指定したうえでまとまったお金を金融機関に預け、本人が亡くなったとき、家族らが簡単な手続きで受け取れる信託商品だ。
通常、銀行預金は口座の名義人が亡くなると、その口座は凍結される。預金を引き出すには、口座の名義を変更するか、解約しなければならず、これらの手続きには故人の出生から死亡までの戸籍謄本のほか、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書をそろえるなどの手間がかかる。
家計相談などを手がける「生活マネー相談室」代表で、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんは「故人の口座が凍結されてしまい、葬儀費用や当面の生活費など、すぐに必要なお金に困る、といった相談は増えている。相続権のある遺族全員が協力できればいいが、そうならない場合も少なくない」と話す。