それが、永井氏が勤続30年を迎えた2012年に会社が倒産。同氏が商標を引き継ぎ、孤軍奮闘して4カ月後に再スタートさせた。元同僚だった熟練職人も雇用したため技術力は失われなかった。一度倒産しOEM契約が終了したことも結果的に追い風となる。ベルガードにOEMで防具を注文していた大手メーカーは、自社の技術ではなかったため、防具市場の開拓に興味があっても、現状では同分野を強化することができない。かつて警備関連企業・団体向けにも納入した防具技術が新会社に活かされており、会社設立以来、増収増益が続く。
■大手に勝つ●その3「審判用・女性用にも活路」
同社が手がける商品のうち、需要が高いものの1つに審判用防具がある。昔の審判はユニホームの上から防具を着ていたが、現在はマスク以外の防具はユニホームの下に着用する。
「防具を内部に着ける審判は一段と汗をかくので、装着時の快適性も高めています。審判用マスクも、顔に触れるパッド部分に吸水布加工を施した商品もある。マスクを装着したまま、ストライクやボールといった発声がしやすいように形状も工夫。審判用にきめ細かく対応するメーカーはないので、競合との差別化にもつながっています」(同)
また、女性用の野球用品も大手が注力しない分野だ。ベルガードのグローブやミットはオーダーメイドで製作できるので、ハートをあしらったグローブやヒョウ柄など派手なグローブを注文する選手もいる。一つひとつの注文に真摯に応えることで、アマチュア選手も含めた女性客を地道に増やしている。
■大手に勝つ●その4「ネットを駆使して海外展開」
昭和時代には男性が親しむスポーツの絶対的王者だった野球も、厳しい時代を迎えている。少年の選手登録数はサッカーに逆転されており、草野球を楽しむ大人も少なくなった。実は、国内における総人口減少の数倍の早さで「野球競技人口の減少」が進んでいる。