ヘイトスピーチ(憎悪表現)解消法が施行されて最初の日曜日となった5日、在日コリアン排斥などを訴えるデモをめぐり、川崎市と東京・渋谷で主催者側とデモを阻止しようとするグループがもみ合いになる事態が相次いだ。川崎市のデモは中止され、渋谷のデモは実施されたが反対派が進路に座り込むなどしてともに騒然となった。通行人らからは「大声でいがみ合って怖い」との声が聞かれた。
「ヘイトする側も反対する側も怖い」
「帰れ!」「私たちは許可を受けてやっている」
午前10時すぎ、川崎市中原区の中原平和公園には、小雨のなかデモに反対する数百人が集まり、約20人のデモ隊に「中止しろ」と声を上げた。
反対派と警察官に取り囲まれた男性側がもみ合いとなり、双方が激しく言い合う場面もみられた。県警が男性側に「デモを実施すると、危険な状況になる」と説得したところ、男性は午前11時半ごろに中止を決めた。
男性側のデモをめぐっては、市は5月のヘイトスピーチ解消法の成立を受け、男性側に川崎区の公園2カ所の使用不許可を決定。横浜地裁川崎支部も今月2日、「人格権の侵害で、集会や表現の自由の範囲外」として一定範囲のデモ禁止を命じる仮処分を決定した。この日、集合場所となった中原区の公園は仮処分の範囲外で、神奈川県警中原署は道路使用許可を出していた。