北海道の水族館がこの冬、“流氷の天使”と呼ばれる巻き貝の一種「クリオネ」集めに苦労している。クリオネは北からの冷たい海水にのって北海道のオホーツク海沿岸にやって来るが、今年は流氷接岸が過去最も遅くなった影響で波の高い日が続き、海での採取が進んでいない。水族館関係者は「まだ今年は必要な分の100分の1しか採れていない」と嘆く。
網走地方気象台は2月22日、「流氷接岸初日」を網走市で観測したと発表した。平年より20日、昨年より34日遅く、1959年の観測開始以来、接岸しなかった89年を除き、最も遅い記録となった。
展示用クリオネは毎年1~3月ごろ、海岸付近で漂っているのを網ですくって集める。北海道立オホーツク流氷科学センター(紋別市)の桑原尚司学芸員(40)は「流氷は波を穏やかにする。波があると小さなクリオネは見えず作業できない」と話す。