一度手を出すと抜け出せないのか。覚醒剤を所持、使用したとして、元プロ野球選手、清原和博容疑者(48)が警視庁に逮捕された事件の衝撃がおさまらない。清原容疑者はこれまでも水面下で薬物疑惑が取り沙汰されていた。誘惑を断ち切るチャンスが何度もあったにもかかわらず、後戻りすることができなかった。高校時代からスター選手として華々しく甲子園で活躍し、プロ入り後も球界を代表するスラッガーとして名をはせながら、現役時代から薬物を使っていた疑惑まで飛び出した。もはや「栄光の軌跡」は泥まみれだ。薬物の中でもとりわけ依存性が高いとされる覚醒剤。実際にどんなメカニズムで依存を深め、どんな悪影響を人体に及ぼすのか。薬物の専門家や関係者が語る覚醒剤の“無間地獄の恐怖”とは-。
ドーパミン分泌…快感の記憶
「覚醒剤は薬物の中で群を抜いて恐ろしい。脳に直接作用するため、覚醒剤への欲求が異常に高まり、そのためには人殺しさえ厭わなくなる。しかも影響は半永久的に消えず、いつ覚醒剤を求めるフラッシュバックが起きるか分からない。たった1回使っただけで、人生を破滅させてしまう」
近畿大薬学部の川畑篤史教授(病態薬理学)は、こう語気を強める。