原発を正しくやめるためには、円滑な廃炉や地域への貢献を進めていく上で必要なヒト・モノ・カネを周到に準備することが不可欠だ。
福島第2原発についても、万一の事故に対する地域住民の避難計画の早期策定や、事故時の的確な国家賠償制度の創設に関する検討と並行し、(1)新規制基準の適用に5~10年程度の適切な猶予期間を設ける(2)原子力規制委の審査前であっても審査中であっても、早期の発電再開を容認する(3)安全投資のための資金を原発事業でしっかりと確保させ、将来必ず行うべき円滑な廃炉による安全な脱原発へと軌道を回復させていく-ことが肝要だ。
◇
【プロフィル】石川和男
いしかわ・かずお 東大工卒、1989年通産省(現経済産業省)。各般の経済政策、エネルギー政策、産業政策、消費者政策に従事し2007年退官。09年東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授など歴任。11年から現職。1965年福岡県生まれ。