さらに、旧型便器には尿跳ね防止のための「返し」部分があるが、新たな2種類の便器には「返し」がないことも指摘した。
これに対し、管理会社側は「一流メーカーの多数出荷された製品を適切に設置し、原告の要望にも便器の取り換えという形で対応してきた」とし、同じビルの他のフロアからは尿跳ねの苦情もないと強調。訴訟には管理会社側の「補助参加人」として大手便器メーカーも加わって応戦した。
結局、判決は実にあっさりした内容だった。
原告側の実験について「便器ごとに放出する高さや強さが統一できているとは認められない」とし、実験結果は採用できないと一蹴。実績あるメーカーの製品を問題なく設置したうえ、便器の交換や前洗浄など「相当の対策を施し、提案した」と管理会社側の対応を評価した。
さらに、同じビルの他のフロアで尿跳ねに対する苦情があったとも認められないとして、争点をほとんど検討することもなく原告側の請求を棄却した。
入居会社側がこの全面敗訴判決を受け入れるわけがなく、大阪高裁に控訴した。「尿跳ね」をめぐる異例の法廷闘争はまだ終わりそうにない。