メーカーと管理会社の両担当者は3月中旬、社長と直接面談し、「これ以上の対策はない」と最後通告を突き付けた。激高した社長は面談の席から退出し、これを機に社長側は強硬姿勢を一気に強めた。
翌4月、社長室長はビル管理会社に対し、便器をリニューアル工事前の旧型に交換するよう再度申し入れ、これまで支払った共益費(月額約110万円)の一部を返還するよう要求。さらに便器を交換するまで共益費の半額を支払わないとまで通告した。
管理会社の担当者らは4月下旬、社長室長と面談して要求拒否を伝えると、入居会社側は5月中旬にリニューアル後の共益費の50%相当額の損害賠償請求をすると通知。管理会社は同月下旬にこの要求も拒否すると回答すると、入居会社側はビルの所有会社と管理会社を相手取り、ついに提訴に踏み切った。
実験「認められない」
原告の入居会社側は訴訟で、ビル管理会社側が高額の共益費に見合う程度に「清潔で衛生的なトイレを提供する義務がある」と主張。リニューアル工事後とクレーム交換後の新たな2種類の便器の尿跳ねは、原告側が水を噴射して独自に実験した結果、同じビル30階に残っている旧型便器に比べ、約44~94倍だったと訴えた。