訴えを起こした後も中国企業が模倣品を販売していることを証明するため、製品の販売ルートを専門家に鑑定してもらうなど、中小にとっては酷ともいえる作業が2年にわたって続いた。訴えは認められたが、費用は500万円以上を要したという。
「思いもよらぬ」侵害
一般的に知的財産=特許と思われがちだが、知的財産権とは技術の「特許」、デザインの「意匠」、ブランドの「商標」の3つに分類される。前田金属は中国企業との係争と前後して、製品の色を赤、黒、銀に統一し、形状にこだわるなど意匠や商標にも注意を払うようになった。「模倣されたとき一目で分かる」(平尾昌彦・河内長野工場長)ようにした。
製造業であれば、意匠や商標の登録は当然のように思えるが、工具業界で中小企業が意匠・商標の権利化に動くのは珍しい。前田金属のような企業はまだほんの一握りだ。