【特許ウオーズ 中小企業】<中>
ボルト、ナット、工具類…。昔から製造業に欠かせないもので、中小企業が下請け、孫請けとして製造していることが多い。これらは技術的に成熟しているため、資金力の乏しい中小企業では新しい技術での特許取得は難しいとされる。
作業工具を製造販売する従業員約130人の前田金属工業(大阪市)の担当者は約4年前の展示会で、ある中国企業の出展品を見て血の気が引いた。
中国企業の社名とは関係のない「MAEDA」の文字が赤地に白抜きで入った作業工具。前田金属が約30年前から使用している自社ブランド「TONE」のロゴに酷似していたほか、製品の形状もほぼ同じという紛れもない模倣品だった。
前田金属は「混同されてはいけない」と訴訟を起こすことにしたが、この企業は中国内で「MAEDA」を商標登録しており、商標で訴えるのは難しいことが判明。苦し紛れの選択だったが、日本の不正競争防止法にあたる法律違反での提訴を決めた。