ブランドウォッチング

まさに花王ルネッサンス! 「アタックZERO」は横綱の乾坤一擲 (3/4ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 まだまだ50代以上については盤石のシェアで、ロイヤリティーの高さがうかがえますので、アタック革命の衝撃を肌で感じた層は揺るがなさそうです。しかし昭和は遠くなりにけり。若い世代にはアタックの神通力が通じにくくなっていることが分かります。

 ブランドの若返りという難題

 成功したブランドであればあるほどロイヤルユーザーが多く、ユーザーの若返りは簡単ではありません。自動車で言えば、メルセデスベンツなども近年取り組んできた課題です。短兵急な変化をしてしまうと、大事にしたいコアファン層の期待を裏切りかねません。

 かと言って、別ブランドに若い層を振り分けたままでは、トップシェアブランドという大名跡のユーザーはどんどん高齢化してしまい、蓄積されたブランド価値ごと先細ること必定です。例えば、男性用でも女性用でもヘアケア商品などで、スーパーやドラッグストアなどの棚最下段にひっそり置かれている、もはや高齢者専用品と化した商品群を思い出してください。

 「花王史上最高」をアピール

 その点、他でもない花王さんがのらりくらりしているはずもなく、アタックブランドの大幅リニューアルで手を打ってきたというわけです。4月1日に満を持して『花王史上最高の洗浄基剤「バイオ IOS」実用化 第一弾 衣類よみがえる「ゼロ洗浄」へ』と銘打ち、「アタックZERO」を新発売

 花王さんらしい、シーズ(独自の基礎技術)を打ち出し、「花王史上最高」と謳っているところに、横綱にして乾坤一擲の気合を十二分に感じます。 

 日本離れした新鮮なパッケージとテレビCM

 とにかくその意気込みはパッケージデザインからもひしひしと感じられます。緑を基調としたカラースキームを捨て、すっきりとした白地、わずかなオレンジの差し色以外はモノトーンに近く、大胆に色味をおさえたシャープな雰囲気。何より、英文字がドーン!と大きく配置され、アタックのカタカナは申し訳程度に添えられているだけです。英文字の印象も手伝い、率直に言えばアメリカンな印象。輸入品と言われれば、そうかもしれないなと思うレベルです。勿論悪い意味ではありません。

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