皆さん初めまして。大手広告代理店で様々なクライアントの商品開発(コンセプト、パッケージデザイン、ネーミング等の開発)に関わってきた筆者が、独自のブランディング視点で今話題の商品、サービスを紹介します。
「アタック」のDNAは、革新のDNA
せっかくの第1回なので、パッケージプロダクト界の押しも押されもせぬ“横綱”花王にして、洗濯用洗剤という大定番カテゴリーの新製品をご紹介したいと思います。
「洗濯用洗剤」において生活者が商品を選ぶ第1基準(マーケティング用語としては、「第1クライテリア」などとカッコよく呼んだりしますが)は、間違いなく「洗浄力」でしょう。でもこの洗浄力という代物、実験室でならばいざ知らず、日常のお洗濯シーンにおいて旧製品との差異や競合商品との違いなど、なかなか目に見えて分かるものではありません。仮に、洗浄力が劣っているとハッキリ感じられる製品があったとすれば一瞬でシェアを落として棚から消えてしまうことでしょう。つまり、逆説的に言えば一般に売られている洗剤には、洗浄力の差など認識できるレベルでは存在しないのではないでしょうか。
それぐらい効用の違いが判別しづらい製品であるがゆえに、洗剤会社は新製品を広告やパッケージで一生懸命(少なくとも研究所レベルでは確認されたであろう、旧製品や競合商品との差異を)アピールするわけです。
しかし、毎年のように微差での改良新発売を余儀なくされる洗濯用洗剤の世界にも、歴史的には何度か革新の瞬間がありました。