マック躍進、米国流決別が出発点 「V字回復」にカサノバ社長の発想転換 (1/4ページ)

新メニューの発表会見で店員らと写真撮影に応じるサラ・カサノバ社長(中央)=2015年10月、東京都内
新メニューの発表会見で店員らと写真撮影に応じるサラ・カサノバ社長(中央)=2015年10月、東京都内【拡大】

 V字回復を成し遂げた日本マクドナルドが躍進を続けている。調達先の中国企業が起こした期限切れ鶏肉問題でイメージが悪化し、一時は3年連続の最終赤字に陥ったが、2017年12月期の最終損益は上場以来最高となる200億円の黒字を見込む。問題発覚以降、トップダウン型経営を改め、地域ニーズ把握や他社との協業など消費者目線に立った取り組みで商品の幅を広げたことが信頼回復につながった。収益力向上を弾みに来期は再び店舗拡大路線に転換する。

 被害者の立場強調

 「マクドナルドは、必ずよみがえると信じていた」

 サラ・カサノバ社長は3年前の心境をそう振り返る。しかし当時、多くの日本人にとって社長就任2年目のカサノバ氏のイメージは良くなかった。

 問題発覚後の14年7月末の記者会見で、カサノバ氏は陳謝しながらも「マクドナルドは(取引先に)だまされた」と釈明。同じ中国企業の鶏肉を輸入していた大手コンビニエンスストアの影響は限定的だったにもかかわらず、カサノバ氏は被害者の立場を強調して反感を招き、多くの客を失った。

 消費者心理を逆なでしたこのコメントについて、同社幹部は「米マクドナルド本社のスタンスに従わざるを得なかった」とカサノバ氏を擁護する。

 だが、米国流を押し通しても日本の商売は当然うまくいかない。翌15年1月には「泣きっ面に蜂」となるデザートへの異物混入問題も起き、客足はさらに遠のいた。

 反省したカサノバ氏は、メディア対応の訓練に励んだという。外見についてもロングヘアを束ね、目力を強調しやすい黒縁メガネを縁なしに変更するなど「柔和なイメージ」へ変貌させた。さらに、全国の店舗を足しげく回り、「ママの声」を聞くといった地道な取り組みを続け、失った客の信頼を取り戻そうと努めた。

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