無人ダンプの投入では、ライバルの米キャタピラーも12年に追随したほか、日立建機は19年の実用化を目指している。
無人ダンプの普及を後押しするのは、ここ数年続く資源安だ。豪英BHPビリトンなどの資源メジャーは経営環境が悪化するなか、人件費をぎりぎりまで削るなどして収益改善に追われている。鉱山労働者は世界的に不足しているため賃金は高く、都市部から離れた場所に位置していることも手伝い、豪州では1500万円程度を稼ぐケースもあるとされる。無人ダンプの価格が下がり、普及が進めば、かなりの費用削減が見込める。
船舶でも無人化検討
BHPビリトンは、鉄鉱石や石炭を無人で運ぶ「自律航行貨物船」の導入も検討している。
船舶の場合、海上通信を確保する必要があるほか、シージャックの標的になりやすいといった声もあり、課題は少なくない。それでも三井造船や商船三井、東京海洋大学が5月、官民挙げて自律航行船の研究に乗り出すと発表するなど、実現の機運は少しずつ高まっている。
世界的な船余りで海運会社の経営はどこも苦しい。他社との提携を含めた経営体質の強化は焦眉の急だ。日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内海運大手3社がコンテナ船事業を統合し、7日に新会社を立ち上げたのもその一例。「必要は発明の母」の格言が真実ならば、実現は意外と早いかもしれない。(井田通人)