過去最悪の最終赤字
これに対し、久美子氏率いる大塚家具では、勝久氏が築いたマンツーマンの接客や会員制販売を、顧客の心理的な負担となるとの理由で取りやめたほか、高価格帯の売り場を減らし中価格帯を手厚くした。
だが、2016年12月期決算は過去最悪の45億円の最終赤字を計上。17年1~3月期も8億円の最終赤字に沈んでいる。「低価格路線に転じたと誤解され、従来の顧客が離れた」。久美子氏はこう反省の弁を述べたが、半端な改革ではニトリなどに太刀打ちできないとの見方は強い。
少子化と新設住宅着工戸数の減少により、家具の需要は縮小が続く。こうした中でも好調なニトリや良品計画について、ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは「ソファに合わせるクッションから本棚に飾る観葉植物まで選べる『ライフスタイル提案』が支持されている」と分析し、大塚家具は「一朝一夕にはまねられないだろう」とみる。
父娘の対立が続けば、いつまでも負のイメージが払拭できないとの指摘もあり、このままでは「共倒れ」の懸念もくすぶる。(山沢義徳、黄金崎元)
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【用語解説】大塚家具のお家騒動
大塚家具の創業者で父の大塚勝久前会長と長女の大塚久美子社長による経営方針をめぐる対立。2014年に表面化、15年の定時株主総会で経営権を争う委任状争奪戦(プロキシーファイト)に発展、久美子氏が勝利した。大塚家具を去った勝久氏は15年に高級家具を販売する「匠大塚」を設立し、会長に就任。社長には長男の勝之氏が就いた。