よそに買われるくらいなら、うちで買ってしまえ-。そんな声が聞こえてきそうだ。阪急百貨店や阪神百貨店を運営するH2Oリテイリングが、セブン&アイ・ホールディングスから、そごう神戸店など百貨店3店舗を取得することで合意した。百貨店事業の不振に苦しんでいたセブン&アイからの申し出だったという。10年前、関西経済を揺るがしたあの“事件”での阪急グループの動きがオーバーラップする。
屈辱の地、神戸
H2Oが取得するのは、そごう神戸店(神戸市)▽そごう西神店▽西武高槻店(大阪府高槻市)。業績が伸び悩んでおり、セブン&アイにはお荷物になりつつある。しかし、阪急・阪神のターミナル、三宮がある神戸は、H2Oにとって重要な地域だ。
かつて神戸ハーバーランドにあった阪急百貨店は苦戦の末、撤退した。終盤は100円ショップをテナントに迎えるなど、なりふり構わぬてこ入れ策を講じたが、ブランドイメージを低下させてしまった。
呉服店を祖業とするそごうは、バブル崩壊後に破綻したものの、阪急や阪神のような私鉄系百貨店よりも歴史あるのれんを掲げる。神戸店は、神戸・三宮の顔でもあり、かつては「地域一番店」だった。