一方、駅西口から徒歩2分の大塚家具のショールーム。1フロア約2700平方メートルという1~4階の売り場を見渡せば、客層は若い印象だ。
店内には3月から本格始動した中古家具のコーナーもあり、新品より2~6割安く購入できる。「リユースでも質が良いならお得感がある」(30代女性)と、客の反応は悪くない。
ただ、客数は匠大塚より若干多いといった程度。会話の糸口を探る従業員のハングリーさは、こちらの方が強い。匠大塚について従業員に聞くと、「互いにリスペクトしながらやっていければ」とだけ答えた。
業績非開示の勝久氏
果たして“春日部戦争”の勝者はいずれか。地元の商工関係者によれば「両社とも繁盛しているとはいい難い」という。「(春日部から電車で約30分の)新三郷のイケアやニトリに流れる客は少なくない」(地元飲食店)との声も聞かれた。そもそも、久美子氏と勝久氏が対立した背景には、低価格の家具やインテリアを販売するニトリやイケアの台頭がある。久美子氏が業績不振に陥った勝久氏の高級路線からの脱却を図ったことが対立のきっかけだった。
勝久氏の匠大塚は業績を開示していない。ただ、春日部の旗艦店に先立ってオープンした東京・日本橋のショールームも含めて基本的に大塚家具の高級路線を引き継いでいる。そのため「富裕層を中心に一定の顧客基盤を保っているはずだが、それを長男・勝之社長が広げられるかどうかは未知数」(アナリスト)だ。