「コンビニエンスストアの育ての親」と呼ばれた鈴木敏文氏の会長退任から1年。セブン&アイ・ホールディングス(HD)の定時株主総会が25日、東京都千代田区の本社で開かれた。鈴木氏との確執を経てトップに就いた井阪隆一社長の“脱カリスマ経営”はおおむね順調だ。主力のコンビニ事業が牽引し、2017年2月期も6期連続となる営業最高益を遂げている。しかし、業績不振のイトーヨーカ堂などの立て直しは足踏み状態で、株主がいらだち混じりの質問を発する場面も見られた。
小雨交じりの朝、JR四ッ谷駅近くのセブン&アイ本社に集まった株主はわずか684人。昨年の出席者数も、試供品の配布を取りやめた影響から一昨年より約600人少なかったが、今年はさらに半減した。鈴木氏の退任が社会的な注目を集めた前回との差が鮮明に現れた。
総会は午前10時に開会。議長の井阪社長は、足元の事業環境について「個人消費の先行きが依然、不透明だ」と述べた上で、3年後の営業利益を23%増、4500億円に引き上げる中期経営計画を説明した。
計画達成へ向け、グループ共通のプライベートブランド商品「セブンプレミアム」に精肉や鮮魚などの生鮮食品を加えてラインアップを拡大するほか、イトーヨーカドーは不振の8店舗閉鎖と、食品売り場の強化を進めるという。