ファミリーマートの男性従業員=当時(62)=が勤務中に脚立から落ちて死亡したのは、2店舗の掛け持ちによる過重労働が原因だったとして、遺族がフランチャイズ(FC)の店舗オーナーとファミリーマートに損害賠償を求めた訴訟は、大阪地裁(福田修久裁判長)で和解が成立したことが29日分かった。運営会社がFC加盟店での労務管理に監督義務があることを認めた初の過労死訴訟とみられる。
和解は22日付。ファミリーマートとオーナーが約4300万円を支払うとともに、オーナーが謝罪し、ファミリーマートが遺憾の意を表してFC加盟店に労働法規の順守を促す。遺族の代理人弁護士は「画期的な和解内容」としている。
訴状によると、男性は平成24年12月、大阪府大東市内の店舗で勤務中、意識を失って脚立から転落。翌年1月、急性硬膜下血腫で死亡した。
男性はオーナーから2店舗の掛け持ち勤務を命じられており、直前までの半年間の時間外労働(残業)は過労死ライン(月80時間)を上回る月218~254時間に及んでいた。遺族が27年4月、約5800万円の損害賠償を求めて提訴していた。
ファミリーマート広報室は取材に「和解成立は事実と認識しているが、守秘義務があるので詳細なコメントは差し控えさせてほしい」としている。