しかし創業から半年後にはブームが一気に沈静化。多くのメーカーが苦境に陥る中、伊勢角屋麦酒も例に漏れず、鈴木社長曰く「どツボにはまりました」。400年以上続く家業を潰してはならない-。そのプレッシャーから、冒頭の「視界から色が消えるほどのストレスを味わいました」と振り返る鈴木社長は当時若干29歳だった。
なんとか窮地を脱するには多くの地ビールメーカーとは異なり高品質を極めて、国際審査会で優勝するしかない。そう独り合点し、なんと6年後の2003年には権威ある世界大会で本当に最優秀金賞を獲得してしまった。
それでもビールは売れなかった。「世界一になれば飛ぶように売れると思っていました」と、鈴木社長は経営トップとしての見通しの甘さを痛感した。それからはマネジメントについて手当たり次第に勉強し、がむしゃらに働いた。「丸2年は無休で働きました。従業員より給料が取れるようになったのは最近のこと」と言う。それまではクラフトビール愛好家をターゲットにしてきたが、04年以降は伊勢神宮の観光客向けのラインナップも投入。びんではなく缶に詰めることで簡便性を高め、価格も抑えた「神都麦酒(しんとびーる)」は観光客にヒットし、経営難を大いに救った。
ドラマのような話に思わず唖然、「ビール造りって大変…」とポカンとしていた筆者に、何を思ったか鈴木社長は「実際にビール造ってみる!?」と切り出した。えぇ!? そんな簡単に造れるもんなの!?
ということで酒好き女記者、実際にビール造りに挑戦することにしてみた。
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この連載では、盛況のクラフトビール業界で注目を集める伊勢角屋麦酒の秘密に迫る。自称“酒豪女子”の記者が実際にビール造りに挑戦。3カ月かけて商品企画から販売まで取り組んだ。(SankeiBiz 久住梨子)
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