【酒豪女子が行く】(1)ビール界のオスカー受賞、伊勢市のブルワリーに世界が注目 餅屋から飛躍した社長の“型破りな創業” (2/4ページ)

餅屋なのにビール造り!? 21代目社長の型破りな“第2の創業”

 東京駅から新幹線と近鉄を乗り継ぐこと3時間半、伊勢神宮にほど近い宇治山田駅に到着した。さすがは「神都」、小雨がぱらつく肌寒い平日でも観光客が散見される。駅から車で10分走ったところに伊勢角屋麦酒のブルワリーはあった。見た目は一般的な酒蔵なのだが、酒は酒でもビール醸造所というのだから、意外な印象だ。しかも隣には昔ながらの味噌溜まり蔵が併設されている。

400年以上続く家業の二軒茶屋餅角屋本店

400年以上続く家業の二軒茶屋餅角屋本店

 向かいには茶店が構え、名物のきな粉餅で参拝客をもてなす。実はこの茶店こそが、伊勢角屋麦酒を運営する二軒茶屋餅角屋本店(三重県)なのだ。天正3年(1575年)に創業した角屋は、近くにあったもう一つの茶店とともに「二軒茶屋」と呼ばれ、店の裏手を流れる勢田川の舟着場を経由して伊勢参りをする人々に親しまれてきた。大正12年(1923年)には味噌醤油の醸造業も始め、昔ながらの木樽での醸造を今も続けている。

 そんな安泰な家業に革命を起こしたのが21代目の鈴木成宗社長だ。筆者と顔を合わせるなり、「ビールは好きですか!?」と爽やかな笑みで詰め寄られた。いかにも自由闊達な雰囲気だ。

21代目の鈴木成宗(すずきなりひろ)社長

21代目の鈴木成宗(すずきなりひろ)社長

地ビールブーム終焉後「視界から色が消えるほどのストレス」