実は、スガキヤの創業当初は店名がなく、甘党向けの店だった。いまでもクリームぜんざい(230円)、ソフトクリーム(レギュラー150円、ミニソフト100円)も看板商品で、全売り上げの約1割(夏季は約2割)を甘味が占める。万事に合理的な愛知県民は、外食にも「オトク感」を求める。ラーメンとソフトクリームを食べてもワンコイン(500円玉)ですむ手頃な価格が、スガキヤを支持する理由の1つだ。そんな名古屋らしさを象徴するのが「スガキヤまるごとミニセット」。ハーフサイズのラーメン+同サイズの五目ごはん+カップソフトクリーム+サラダがつく豪華セットだ。これを590円で提供するのも“愛知モーニング”感覚だろう。
昭和時代から大手スーパーに積極出店
愛知県民にとって、スガキヤは子供の頃の思い出だ。いや同県民に限らない。先日、筆者は別の打ち合わせでメーカー勤務の女性(三重県津市出身)に会ったが、スガキヤの話をすると強く反応し、「昔、近くにあったのでよく食べました!」とうれしそうに語った。別の打ち合わせでは男性編集者(福井県福井市出身)が同じような反応だった。こうした反応を示す人が多いのには理由がある。中部地方限定だが、まだ「フードコート」なんて言葉もない昭和時代から、スガキヤはスーパー店内に積極的に進出していたのだ。
「初出店は1969年5月に開店した『ユニー大曽根店』(名古屋市東区。のちピアゴ大曽根店。2010年に閉店)で、好評を得て以来、各地のスーパーに出店させていただきました。買い物に来たお母さんが子供連れで来店してくださり、お子さんが成長すると友人と一緒に来たり、結婚して子供ができると祖父母・親・子の三世代で来られる方も多いです」(菅木氏)