「売れないといけないが、商品を切らしてもいけない」というプレッシャーがかかる中、迎えた15年6月30日の販売再開。再び世に出たヨーグリーナは順調に走り出し、糸瀬さんは「また認めてもらえた」と胸をなでおろした。
そして、9カ月後の16年3月に販売数量1000万ケースを突破。フレーバーウオーター市場で、過去最速のペースを記録した。
部署を飛び越えた開発
「短い期間でいろんな人に関わる経験ができた」と振り返る糸瀬さん
短い期間で商品を完成させ、大ヒットに導けたのは、「たくさんの人に関わってもらったおかげ」。担当や部署を飛び越えた「チームの力」だという。
通常の新商品であれば、パッケージ開発や宣伝といったプロセスを順番にこなしていくことが多いが、2カ月で全てを完成させる必要があったため、同時進行を余儀なくされた。そうなると、商品がまだできていないのに、宣伝の部署と打ち合わせを始めることになる。結果、宣伝チームからも商品についてアイデアをもらうことができた。他にも、開発チームが気付かない視点から意見をもらう機会が多く、「いい作用」を引き起こした。また、販売停止によって、製造の部署ともより深く関わった。無理をお願いして衝突したこともあったが、その経験で関係が深まり、その後の仕事にも生きているという。
ヨーグリーナの経験が教えてくれたのは、「壁があっても、いろんな人が知恵を出し合えば、乗り越えることができる。そうすれば、世の中を動かすこともできる」ということ。「そこそこヒットした『朝摘みオレンジ』を前例に、フルーツ系のフレーバーにしていたら、ここまで天然水ブランドが活性化することはなかった」と振り返る。
4月25日には、新たなフレーバーの新商品を発売する。ヨーグリーナに続く、新カテゴリーを打ち立てる計画だ。まだ詳細は明かせないが、糸瀬さんは「『そうきたか!』と言わせたい」と自信をのぞかせる。