南アルプス(山梨県)のほか、阿蘇(熊本県)、奥大山(鳥取県)といった採水地を前面に出したブランドイメージが定着し、販売は右肩上がり。健康志向に加え、東日本大震災以降は防災意識がさらに高まり、市場は拡大。その成長をけん引してきた。2016年は前年比6%増の1億60万ケースを販売した。
フレーバーウオーターの次の一手
天然水の主力商品は2リットル・550ミリリットル入りペットボトルになるが、フレーバーウオーターなどのサブカテゴリー商品も近年の成長を下支えしている。糸瀬さんが天然水の仕事を始めたころ、13年に炭酸水の「スパークリング」、14年にフレーバーウオーター「朝摘みオレンジ」を投入していて、今後のブランド戦略が課題になっていた。
フレーバーウオーター市場は、日本コカ・コーラの「い・ろ・は・す」など、他社の商品が先行していた。そのため、後発となる新商品は失敗できない。社内でも天然水ブランドに対する期待は高く、機運が高まっていた。「新しい価値をつくっていくというモチベーションが高まった」と、糸瀬さんは振り返る。
次の一手として決まった新商品は、朝摘みオレンジに次ぐフルーツフレーバー。糸瀬さんが加わった14年9月の時点で、中身もパッケージも決定していた。
ちょうどそのころ、中身を開発する研究所で、ある研究員が生み出した味に注目が集まっていた。「こんな味ができた」と、研究員が自発的に提案した味。それが、乳性フレーバー。後に「ヨーグリーナ」として世に出るフレーバーウオーターだった。