そんな嵐のような日々を経て、ヨーグリーナは世に出ることになった。開発段階から「おいしい」と絶賛された味の秘密は、素材を生かした製法だ。その素材とは、チーズを作るときに出る液体「ホエイ(乳清)」。ヨーグルトの上澄み液としても知られている。その乳清を乳酸菌で発酵させることで、透明でありながらコクのある味に仕上げた。「飲めば分かる」というおいしさを広く知ってもらうため、発売前の告知にも力を入れた。
そして、2015年4月14日の発売日を迎える。受け入れてもらえるか--。
2カ月半の販売停止
糸瀬さんらの不安を吹き飛ばすかのような「想定外の売れ行き」でヨーグリーナの販売は幕を開けた。
ところが、大きな問題が起きる。生産能力を上回るほど売れてしまったのだ。メディアが大きく報じたため、ご存じの人も多いだろう。発売してすぐに出荷停止に追い込まれる。再開までには2カ月半を要した。
その間、糸瀬さんは大量に生産するための交渉に走り回っていた。天然水シリーズは、採水地にある工場を拠点として、川上から川下まで、全ての工程がブランド構築の重要な役割を担っている。それを支える製造現場に対して、無理難題ともいえる大量生産をお願いした。在庫を抱えることはリスクにもつながるため、「責任を取れるのか」と責められることもあった。それでも、供給体制を整えることが優先だった。