「空飛ぶ新幹線」次の30年見据えロボット化 JR東海浜松工場、730億円投じ新ライン (2/3ページ)

2017.3.25 06:10

JR東海が全面刷新した浜松工場の検査・修繕ライン。複雑な形状のため、人力で行っていた先頭車の「研ぎ作業」も自動化された=1月13日
JR東海が全面刷新した浜松工場の検査・修繕ライン。複雑な形状のため、人力で行っていた先頭車の「研ぎ作業」も自動化された=1月13日【拡大】

 最も大がかりな「全般検査」は、3年または120万キロ以内で行う。車体から全機器を取り外し、細部までメンテナンスするため、1編成16両の検査に約2週間が必要だ。

 この全般検査を東海道新幹線で行える拠点は唯一、浜松工場だけ。東海地震などで被災した場合、長期間にわたり運行できなくなる恐れがあった。

 そのリスク軽減に向け、10年9月から19年3月までの計画で、計約13万平方メートルの建て替えや耐震補強を実施。この機に最新のロボットも導入し、作業を大幅に効率化した。

 検査ラインの中で大きく変わったのは、台車を脱着する「車体上げ」「車体載せ」の作業だ。以前は大型クレーンで車体を空中につり上げており、毎年恒例の一般公開イベントでは「空飛ぶ新幹線」として見学者の人気を集めていた。

 しかし、新ラインではジャッキで車体を持ち上げる方法に変更。従来はクレーンの操作資格者2人で行っていた作業が資格不要、1人で行えるようになった。

 また、車体を塗り直す前に、塗料が密着しやすくなるよう車体表面を樹脂ブラシで細かく研磨する「研ぎ作業」は、完全にロボット化した。複雑な曲面からなる先頭車両は従来、足場が不安定な中、2人がかりで3時間以上かけて作業していたが、全自動で40分に短縮され、仕上げ品質が均一になったという。

 その後の塗装も環境面に配慮し、塗料を油性から水性に変更。車体以外の部品の塗装についても完全にロボット化した。

 さらに、車体から取り外した床下機器やパンタグラフなどの装置を搬送する無人フォークリフトを導入。工場2階の立体格納庫に運ばれた装置は、自動でそれぞれの棚に仕分けされる。

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