三菱重工業は2日、子会社で国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を開発する三菱航空機(愛知県豊山町)の森本浩通社長(62)が3月31日付で退任すると発表した。後任には、三菱重工で防衛・宇宙事業を率いる水谷久和常務執行役員(65)が就く。森本氏は2015年4月1日の就任から2年で社長を退くことになる。
MRJは開発が難航しており、1月23日には5度目となる初号機の納入延期を発表したばかり。また、昨年11月に三菱重工が宮永俊一社長直轄の事業推進委員会を設置し、親会社としてMRJ開発に深く関与する方針を打ち出していた。
宮永社長は同日の決算会見で、今回の人事について「グループを挙げて(事業を)推進する決意の表れ」と説明。引責辞任かとの質問には「(開発が)遅れた責任ではない。遅れたのは1人のトップの問題ではない」と否定した。
三菱重工が同日発表した16年4~12月期連結決算は、最終損益が112億円の赤字(前年同期は533億円の黒字)に転落した。円高による収益悪化に加え建造が遅れた大型客船に関し164億円の損失を計上したことなどが響いた。売上高は前年同期比4.9%減の2兆6942億円、本業のもうけを示す営業利益は63.1%減の684億円だった。
【プロフィル】水谷久和
みずたに・ひさかず 名大卒。1975年三菱重工業。執行役員などを経て2013年4月から常務執行役員。三重県出身。