居酒屋チェーンのワタミの業績が回復している。2008年に新入社員が過労自殺した事件をきっかけに「ブラック企業」のイメージが定着し、客離れを起こしていたが、総合居酒屋の「和民」や「わたみん家」を新業態の「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」に転換し、復調している。ただ、一部の経済ニュース番組が「ワタミ隠し」で客足が戻っていると報じ、インターネット上では新業態の屋号について、賛否両論の意見が出ている。
「このまま行けば、通期で黒字化できる」。11月に都内で開いた16年中間期決算の説明会で、ワタミの清水邦晃社長は業績改善に手応えをみせた。
16年中間期の売上高は介護事業の売却などで前年同期比30.6%減の482億円で営業損益が10億円の赤字(前年同期は14億円の赤字)だったが、国内外食既存店売上高は101.8%増とプラスに転じた。「01年以降、半期で100%を超えたのは初めて」(清水社長)。企業イメージの悪化で売り上げの減少が続いていたが、ようやく歯止めがかかった。
要因は新業態への転換が大きい。総合居酒屋の「甘太郎」や「土間土間」を展開するコロワイドなどが赤字転落する中、低価格の焼き鳥チェーン鳥貴族は好調な業績を維持している。