「やれることは全部やった」どん底味わったマクドナルドが急速に業績回復できた理由 (4/6ページ)

日本マクドナルドが日本進出45周年を記念して発売する「テキサスバーガー」(左)と「ベーコンポテトパイ」=28日、東京都新宿区
日本マクドナルドが日本進出45周年を記念して発売する「テキサスバーガー」(左)と「ベーコンポテトパイ」=28日、東京都新宿区【拡大】

--グルメバーガーが流行していますが、日本人のハンバーガーへの意識は変わってきたと思いますか?

【下平】かなり変わってきていると思います。ただ、グルメバーガーも含めて、他社さんの動向に影響されて方針を決めることはありません。マクドナルドらしい、お客様に少しでも満足していただけるハンバーガーを提供していきたいと考えています。

“クリンリネス”の大切さ

--「ビジネスリカバリープラン」の2番目の項目は「店舗投資の加速」です。

【下平】お客様に最高の店舗体験をしていただくには、「QSC」と「バリュー」がとても重要だと考えています。QSCとは「Quality, Service, Cleanliness(クオリティ、サービス、クリンリネス)」のこと、バリューとは「お店でどのような価値を感じていただくか」ということです。特に「Cleanliness」には力を入れました。どんなに厳密な品質管理を行っても、どんなに美味しいメニューを開発しても、このQSCが不足していれば無意味だと我々は考えています。

 我々も今までの成功体験をもとに力を入れてきましたが、お客様が求めるレベルがどんどん高くなってきていると感じます。それだけお客様がどんどん成長しているのでしょう。我々が考えていたレベルを超えた期待をいただいていると思います。

--店舗投資とは、どのような部分に行われているのでしょう?

【下平】大きなアクションが2つあります。1つは店舗の改装。お店の古いデザインを変えたり、破損しているテーブルや椅子を変えたりします。昨年は400店舗、今年は500~600店舗を改装しました。

 実はオーナーオペレーター(筆者注:フランチャイズ法人の経営者)には、改装に二の足を踏む方もいらっしゃいました。キャッシュフローが厳しいところに、さらに改装して投資するわけですからね。そこはよく話し合って、今後の成長のために投資をお願いしました。本社からも金銭的なサポートは行っています。ただ、実際に改装すると、驚くほど店が変わるのです。オーナーさんも驚きますし、お客様が来店する機会にもなります。

 もう1つはオペレーションの改善です。まず、清掃のオペレーションを大きく変えていきました。大勢のお客様に来店いただくと、すぐに散らかってしまいます。今まではスタッフがカウンター業務の合間に清掃を行っていましたが、今は客席に常駐して清掃を行っています。それに加えて、マクドナルドオリジナルの清掃道具を開発しました。

--オリジナルの清掃道具ですか?

【下平】はい。これが意外に効果がありました(笑)。これまで店内を掃除していたブラシはかなり大きかったのですが、大きいとかえってブラシ自体の汚れが目立つので、「オシャリーナ」という市販の小さなホウキをマクドナルド用にアレンジしてもらい、昨年の5月から7月にかけて全店舗に配布しました。業者の方に協力していただいて、道具の使い方の講習会も行っています。

 あとは、手拭き用のふきんと洗浄液のスプレーを入れた小さなポーチを持った店員が常にテーブルなどを清掃しています。清掃だけでなく、お客様とコミュニケーションを取ることもあります。こうしたきめ細かい対応で、店の清潔さのスコアは順調に上がっていると感じています。

「スマイル0円」の復活