最高峰のレースでの活躍が示すように、二輪車市場で日本勢の存在感は大きい。日本自動車工業会(自工会)によると、2015年の世界の二輪車生産5598万台のうち、日本メーカーのシェアは44%を占める。近年は印ヒーローグループなど新興国メーカーが台数を伸ばしているが、日本は依然としてほぼ半分を維持する二輪車大国だ。
だが、国内市場の状況は厳しい。15年の国内販売は約37万台となり、ピークの1982年に記録した約328万台から9割近く減少した。その結果、各社は主要拠点を置く国内事業の再編を迫られている。
代表例はホンダとヤマハ発が10月5日に電撃発表した業務提携だ。両社は国内独自規格の原付き1種の維持を目指し、共同開発などで投資を抑制。海外で人気の高い排気量125ccクラスなどに経営資源を振り向け、収益性の改善につなげる方針だ。
これに対し、業界関係者は「あの2社が組むとは」と驚きを隠さない。両社は80年前後の数年間にわたり、泥沼の争いを演じた。主要製品のスクーターを中心に定価の半額など値下げ競争が起き、両社の関係は悪化した。マスコミは両社の頭文字から「HY戦争」と書き立て、犬猿の仲とされた。