東芝は16日、個人株主から不正会計を見逃した新日本監査法人に損害賠償訴訟を起こすよう求められていた件に関し、提訴しないと発表した。社内調査を行った結果、勝訴の可能性が低く、外部に責任を求めるより自社の内部管理体制の強化や企業風土の改善に取り組むことが最善と判断し、提訴を見送った。
東芝は今年7月20日に個人株主から不正会計を起こした当時、会計監査を担当していた新日本を提訴するよう請求された。これを受けて、新日本との会計監査を担当していた複数の社員に聞き取り調査を行った。
その結果、「新日本に任務懈怠(かいたい)が認められる」としたものの、当時の経営トップの関与から不正会計が行われており、裁判で請求自体が否定される可能性が高いと結論づけた。
さらに、仮に裁判を行って勝訴しても、コストが膨らむ可能性が高いため、提訴しない方針を決めた。
東芝は「不正会計の責任は当社にある。外部に責任を求めず、自らの襟を正して信頼回復に努めたい」としている。
東芝は不正会計問題を受け、今年度から監査法人を新日本からPwCあらた監査法人に変更している。