安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が正念場を迎えている。政府・日銀が目指す「経済の好循環」の実現には、設備投資や賃上げが欠かせないが、内部留保を積み上げている企業は多い。投資に前向きになれない理由として、多くの企業が「デフレ志向が根強い」と考えていることが、フジサンケイビジネスアイが主要企業121社を対象に行ったアンケートで明らかになった。
アンケートは7月下旬から8月上旬にかけて実施。この中で、好循環が生まれない理由を2つまで回答してもらったところ、「デフレ志向が根強い」を選んだ企業は54社と最も多かった。
企業を取り巻く環境は、英国の欧州連合(EU)離脱問題や金融市場の混乱などで先行きが見通せない状況だ。企業は「今年度の企業業績など楽観視できるわけではない」(運輸)、「好業績は一時的なものと捉えている」(電機)と切実に訴える。
政府や日銀に対し、デフレ志向の根本的な原因である「将来不安」の解消を求める企業も多い。具体的には「社会保障の持続可能性が不安視される中、政府からは課題解決への道筋が明確に示されていない」(保険)、「将来不安が強く、消費志向が弱い」(食品)といった声だ。