日銀が7月29日に上場投資信託(ETF)の購入額を約2倍に増やし、保有残高が年約6兆円(現行は約3兆3000億円)になるように買い入れを行う追加の金融緩和を決めたことについて、企業の約6割が「先行きのリスクを踏まえ適切」とみていることが、調査で分かった。英国の欧州連合(EU)離脱決定など経済の先行き不確実性の高まりが企業や家計の心理を悪化させるのを防ぐことが狙いだっただけに、「景気の下支えになる」(運輸)や「政府の経済対策に歩調を合わせ適切」(エネルギー)などとの声が相次いだ。
一方、ETF増額の金融政策が円安株高の演出につながらず、同日の東京株式市場の日経平均株価の終値は前日比92円43銭高の1万6569円27銭で引けた。こうしたことから「状況に変化がない」(保険)、「小出しの金融政策で市場の期待を裏切った」(証券)などと否定的な意見も金融機関の間で出ている。
また、日銀の2月のマイナス金利政策の導入から半年たったが、4割の企業が自社の事業に「影響はない」と判断している。低金利で借り入れができるメリットがあるが、「楽になった」との回答は12%にとどまり、設備投資額を増やした企業はわずか2%だった。
一方で、安いコストで長期の資金を確保しようと、借り入れではなく、低利の社債発行に踏み切る動きも運輸、機械といった業種で出ている。