□内閣府参与・インテカー代表 齋藤ウィリアム浩幸氏に聞く
日本の政府機関以上に変化やディスラプト(破壊)に抵抗する組織は珍しい。しかし、コンサルタント会社インテカー(東京都千代田区)の代表である齋藤ウィリアム浩幸氏は、官僚制にイノベーションをもたらすことを目指し、驚くべきことに成果を上げている。内閣府参与として、スタートアップ創業者の視点や知見を日本の公的な課題解決に生かそうと取り組む齋藤氏の背景に迫った。
◇
--若くして起業の世界に飛び込んだとか。最初の起業は
「高校生のときです。オタクはかっこいいとはいえませんでしたが、小学生の頃からコンピューターを使い始め、大人がお金を払って使いたい物が生み出せることに驚き、夢中になりました。当時は、それが革命的なコンセプトだったのです。私の事業経営のアプローチは、ある意味当時とそれほど変わっていません。世の中に価値を増やす物を作るのが好きなんです。肩書やCEO(最高経営責任者)という立場が大きな意味を持ったことはありません。価値の創造こそすべてです」
--起業家としての道を大学、医科大学院時代も歩み続けましたね。医学生が企業経営も同時にこなすなど想像もできませんよ
「日本から米国に渡った日系1世の両親は、私に医師になってほしいと強く願っていました。それも悪くないと思っていたのですが、医療に情熱を傾けられず、これは私の進むべき道ではないと分かりました。でも、大学院を修了し、丸一日は医師として働いたこともあるので、両親に願い通り医師になったよと言っても嘘にはなりませんでした」