【AI新時代】「ヒトラーは間違っていない!」…「悪のAI」育つ可能性も 人間が譲れぬ「一線」とは? (4/5ページ)

2016.6.6 16:00

写真は、走行中に接触事故を起こしたグーグルの自動運転車、人工知能「アルファ碁」との対局で敗北した韓国の李世●九段、演説するドイツのアドルフ・ヒトラー総統(上から時計回り、●=石に乙)

写真は、走行中に接触事故を起こしたグーグルの自動運転車、人工知能「アルファ碁」との対局で敗北した韓国の李世●九段、演説するドイツのアドルフ・ヒトラー総統(上から時計回り、●=石に乙)【拡大】

  • 人工知能「アルファ碁」との対局で敗北した韓国の李世●九段(AP、●=石に乙)

 日本側が示した開発ルールは▽第三者による悪用防止▽制御を失って人に危害を加えることを防ぐ-など8項目。これには、たたき台がある。情報法を専門とする慶応大の新保史生教授が昨年秋にまとめた「ロボット法 新8原則」だ。

 SF作家のアイザック・アシモフが「人間に危害を加えてはならない」などを柱とする「ロボット工学の3原則」を提唱したのは半世紀以上前。AIとの共存が夢物語ではなくなりつつある中、問題は当時より複雑で多岐にわたる。このため、新保教授は新8原則に「秘密保持」といったプライバシー保護の原則も盛り込んでいる。

 思い描くのは高度なAIを搭載した介護ロボットなどの姿だ。家族一人一人の表情を読み取る高精細のカメラを備え、会話も自然にこなす。それがネットワークでつながれば、画像や音声など膨大な個人データが運用者側のサーバーに蓄積される。

 そんな社会では情報を外部に漏らさない厳格な仕組みや基準が必要になる、と新保教授はみる。「技術の『安全』は社会の『安心』を担保しない。安全基準にのっとった自動運転車が自爆テロにも使われ得るように。場当たり的な対応には限界がある」

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