【ビジネスのつぼ】ローソン 「裏方が主役」“刺激的発想”で人気 (3/4ページ)

2016.2.22 05:00

「わさびいなり」と「手巻寿司わさびシーチキンマヨネーズ」を持つ開発担当者の原田緑さん=東京都品川区のローソン

「わさびいなり」と「手巻寿司わさびシーチキンマヨネーズ」を持つ開発担当者の原田緑さん=東京都品川区のローソン【拡大】

  • 「わさびいなり」と「手巻寿司わさびシーチキンマヨネーズ」
  • 青森県立三本木農業高校の学生が考案したパン「三農MO-MO(モーモー)パン」(ローソン提供)

 ◆「薬味扱い」説き伏せ

 しかし、脇役のわさびを主役にするのは、困難を極めた。「かんぴょうとわさびを巻いた寿司」や、すったわさびだけを巻いた「涙巻き」、コンビーフにわさびを混ぜた具材など十数種類もの試作品を作ったが、どれも納得できるものではなかった。ヒントを得るために、東京都内のすし店や百貨店の食料品売り場に足を運ぶことも、一度や二度ではなかった。

 わさびは根、茎、葉の3つの部分があるが、原田さんが着目したのは茎の部分だった。辛みの中にも甘みがあり、香りがよい。しかも目新しい。きざんだものを酢飯やシーチキンマヨネーズに混ぜるとシャキッとした食感もアクセントとなる。具材はわさびの茎をきざんだものに決まった。

 しかし、大きな問題もあった。ローソンの約3500店で販売するには約600キログラムの茎の部分を調達する必要がある。わさびの名産地の静岡県といえども、茎の部分だけでその量を確保するのは難しかった。しかし、同県伊豆市天城地区のわさび仲卸業者らの協力で必要な量を確保することに成功した。

 商品開発中に最も悩んだのは、商品に入れるわさびの量だったという。商品名に「わさび」をうたっているにもかかわらず、わさびが効いていないと消費者の期待を大きく裏切ることになりかねないからだ。しかし、原田さんは「わさび好きにも満足してもらえるように、一口食べて鼻にツーンとくるほど、わさびを利かせた」と笑顔で話した。(松元洋平)

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