それとは別に記者は、パナソニックによる買収が決定した際にも井植氏を夜回り取材したことがある。そのときは「金融3社が優先株を取得し、7割を握られた後では、私にどうできるものではない」と答えていた。そのことを確認すると「そうやったかな。忘れた」とした。
井植氏にとって、金融3社の出資を受け入れた時点で勝負がついたということだろう。「だまされたほうが悪い」という自嘲ともいえる言葉がすべてを象徴していると思えた。
三洋の元社員たちについて「元気で活躍していることを祈っている」と語ったことだけが救いだった。