アップルは、さまざまな部品の組み合わせでいかに製品の性能を高め、量産時のコストを削減できるかという点に開発の力点を置いている。薄型軽量化するための素材も含め、腕の良い会社を探すのがアップル開発陣の重要な仕事となっている。
前述の部品メーカー幹部は「人の技術でヒット商品を生み出している」とアップルのビジネスモデルに憤りを隠さない。島野製作所(東京都荒川区)は、電源コネクター部分の関連技術でアップルの特許権侵害を東京地裁に訴えている。
販売規模の大きいアップルは、生産コストの削減や調達リスクを軽減するためサプライチェーンを分散化させている。特に東日本大震災以降、この傾向が顕著になっているという。
島野製作所の件でも、アップルは、島野との約束を破り、別の下請け会社に同じ部品を作らせ、コスト削減に取り組んでいたとして訴えられている。類似した行為は島野以外にもあるとされ、国内の部品メーカーは、中核技術が流出しないように、慎重にアップルと取引を行っているのが現状だ。